2016年 02月 28日
黒釉掻落し 西夏文字付梅瓶
かのチンギス・ハンに滅ぼされ、治世190年でシルクロードの砂漠に消えた西夏王国。井上靖の「敦煌」にも登場する謎の西夏文字。その6000字あると言われる文字の内の21文字がこの梅瓶に書かれている興奮。かつてシルクロードを旅した時、回族の飲んでいたお茶は「清涼茶」。ゆっくり溶ける氷砂糖、棗、クコの実に桂園、そして少しばかりの緑茶の葉っば。知らない国と知らない民族の優しく甘いロマンの味がした。
2016年 02月 27日
黒地鉄絵 牡丹文梅瓶
中国のやきもので何が一番驚くかって、やはりその完成されフォルムの美しさだと思います。中でもこの梅瓶の優美なこと。これが当時は酒瓶だったとは!!
描かれている花はもちろん牡丹なのですが、なぜかこの作品を見た時「夜の桜」と名付けてしまいました。(とらやの羊羹に「夜の梅」というのがあったっけ)。「夜桜」ではなく「夜の桜」。月の光に照らされた1本の桜が、真っ黒な夜の闇に溶けるように咲いている。妖艶で哀しげで。傍に置いておきたい名品です。
2016年 02月 26日
天下太平を願う龍
「元祐元年」とは中国・北宋の哲宗の治世元年、つまり1086年のこと。1086年9月14日、多分旧暦だと思うので現在で言えばちょうどお盆の季節でしょうか。李職人が平和を願ってこの雄渾な走龍の姿を描いたのですね。お寺へお供えしたのかもしれません。
2016年 02月 25日
特集のお知らせ
2月~3月末 「民窯の多様性 磁州窯系の陶磁器」
4月~5月末 「墳墓の世界 単彩・三彩・加彩」
6月~7月末 「窯変する鈞窯」
9月~10月末 「白い定窯・黒い定窯」...
以上どの特集も100点近く作品が並びます。
「やきものは絶対に実物を触ってみないと」が、陶枕斎のコンセプトですので、ネット販売はしておりません。是非お気軽に「来て、見て、触って、選んで」ください。お待ちしております。
2016年 02月 21日
黒掻落し 飛白文瓶
日本の小鹿田焼や小石原焼はロクロを回しながらカンナで削っていく「飛びカンナ」という手法で有名ですが、驚くことに今回ご紹介するこの2つの瓶は、ひとつひとつを手で削りとっています。「歩歩是道場」という言葉が禅にありますが、写経も同じなのでしょう、一つ一つを丁寧に削っていく緻密な作業、一糸乱れぬ集中力。しかし出来上がった姿は緻密さよりも大らかさが感じられるから不思議です。「成すべきことをするのみ」と腰の座ったその時代の職人さんたちの顔が浮かんできます。