2016年 10月 09日
定窯 黒釉盞
何と呼んだら良いのだろう。
「油滴天目」でも「禾目天目」や「兎毫盞」でもないのはもちろんだが、かといって「木葉天目」でもない。
強いて言えば、「玳皮盞」風な「曜変天目」といったところだろうか。
中国では定窯の黒釉磁のことを特に「紫定」と呼んで、天目釉の黒とは区別している。
形は定窯特有の、切れるような鋭さ。きわめて薄造りで端正だ。
高台は口径に比べて非常に小さい。器体が斜めにピンと伸びている。
べっ甲というよりは、猫目石のように輝く不思議な模様が、漆のような黒に浮かんでいる。